おえぁ? れれぁいぇう?

ブログ名思いつかないので仮です

読点の場所を考える ~《とりあえず》の場所と場面転換~

こんにちは、やのとです。

私は、文章を、書くことが、好きなのですが、読点、の、使い、かたが、謎過ぎて、日々、を悶々と、すごして、います。

 

どうでしょうか……。読点、上手く使えているでしょうか。いや、全然ダメですね。くそです。

というわけで「読点」の使い方について、自分なりに分析してみました。

 

使いこなせていない例

「読点(、)」は日本語において非常に重要な役割がありますが、ひとまとめにされる「句点(。)」に比べて、使い慣れていない方が多い印象があります。

私が見かけた中では、

・文節ごとに逐一差し込まれている。

・必要な場所に使われていない。

この二種類が目に付きました。例を出しましょう。

文節ごとに逐一差し込まれている例

「私は、笑顔で、オムライスを食べる、妹を見守った。」

こんな感じの文章、見たことはありませんか? 読点だらけでくどい上、文章のまとまりが断ち切られてしまっているので、意図が伝わりづらい文章になっています。

必要な場所に使われていない例

「私は笑顔でオムライスを食べる妹を見守った。」

ツイッターやチャットなど、文字数制限があったりスピードが求められたりする場所だと読点を省略することがありますが、そのせいで語弊が生まれることもあります。

 

上記の文章を修正する

2つの例を出しましたが、どちらも『笑顔であるのが「私」か「妹」か分からない』という問題が発生しています。これでは「妹が実はオムライスが嫌いで、しかめ面をしているが、私はそれを見て笑顔になった」とかいうサイコな状況にもなりかねません。

 

これを直すならこんな感じ。

「私は、笑顔でオムライスを食べる妹を見守った。」

場面を想像しやすい文章になったと思います。元の文章だと「私」が笑顔なのか、「妹」が笑顔なのか判別できませんでしたが、無駄な読点を消すことで「笑顔でオムライスを食べる妹」という名詞が浮かび上がってくるのです。

逆に「私は笑顔で、オムライスを食べる妹を見守った。」にすればサイコになるわけですね。

 

読点はどこに入れたらいい?

位置を少し変えるだけで、文章の意味合いをがらりと変えてしまう読点ですが、打ち方にはある程度のルールがあるようです。

新たな例を出します。

「私は家族と水族館へ行き館内をゆっくりと見て回ったあとペンギンショーを見てお土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

 こちらの文章ですが、とりあえず(・・・・・)読点を入れていい場所があります。

「私は、家族と水族館へ行き館内をゆっくりと見て回ったあとペンギンショーを見てお土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

はい、ここです。主語の後にはとりあえず(・・・・・)つけて問題ないと思います。今回は省きましたが、主語に修飾語がついている場合(例えば「”機嫌のいい”私」)は特に必要になってきます。

 

では次に読点を付けるべきはどこか……。

それは『場面が切り替わる場所』です。

「んおお?」と疑問符が浮かんだ方は例文を元に、頭の中にイメージを作ってください。

「私」は家族と水族館へ行きました。でもまだ到着したわけではありません。

次の場面では、いきなり水族館内です。水族館へ到着した描写は、文章中では省略されているわけですね。ですので「水族館へ行き」の後に読点を入れます。

「私は、家族と水族館へ行き、館内をゆっくりと見て回ったあとペンギンショーを見てお土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

他にも場面が切り替わる場所があるので、同じように読点を入れていきます。

「私は、家族と水族館へ行き、館内をゆっくりと見て回ったあと、ペンギンショーを見て、お土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

こんな感じになりました。読点を入れていない文章と見比べると、格段に読みやすくなったと思います。

今回の例ならば、これで完成形と言ってもいいでしょう。

 

他にも、読点が必要な場面があります。

「きゅうりを45本買ってきて」

買い過ぎです。野菜コーナーからきゅうりがなくなってしまいます。

口頭であれば間違えることはないですが、文章にするとこんなことになってしまいますね。数字を区切るように読点を付けましょう

「きゅうりを4、5本買ってきて」

これなら間違いは起きないと思います(まさか4本と半分買ってくる人なんていないよな?)。

 

「遠足に持っていくお弁当、レジャーシート、雨具、そして筆記用具をリュックサックに詰めた。」

このように、名詞が連続する場合も区切るように読点を付けます。「~と~と~と~」のように接続詞を連続して使うと読みづらくなってしまうので、その代わりというわけです。

 

愚直にルールを信じればいいわけではない

読点の難しいところはここにあります。

「彼女は、賢い。」

先に述べた「主語の後に読点を入れる」というルールに則った文章ですが、後に続く文章が短いせいで違和感があります。

こういった単純な文章の場合、読点は入れない方が自然です

「私は、家族と水族館へ行き、館内をゆっくりと見て回ったあと、ペンギンショーを見て、お土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

先程の例を持ってきました。これも間違いなく読みやすい文章ですが、「家族と水族館へ行き」であれば単純な文章なので、最初の読点は無くても問題ありません。

「私は家族と水族館へ行き、館内をゆっくりと見て回ったあと、ペンギンショーを見て、お土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

文脈をよく考え、柔軟に対応しましょう。ペンギンショーのくだりも単純な文章です。

「私は家族と水族館へ行き、館内をゆっくりと見て回ったあとペンギンショーを見て、お土産に小さなイルカのぬいぐるみを買った。」

これが最終進化形態かなー、と思います。

 

表現としての読点

ここから先は普段扱うような文章ではなく、小説などで使われるような「表現重視の読点」になります。

息遣いや僅かな間の表現

「遠足に持っていくお弁当、レジャーシート、雨具、そして筆記用具をリュックサックに詰めた。」

また先述の例を持ってきました。この文章を元に頭の中でイメージしてください。

読点が入るたび、指を折って荷物を数えているような、慎重かつ丁寧に準備を進めているような光景が浮かんできてはいませんか?

場面の切り替わりでもそうです。

読点が入ると僅かな「間」が生まれます。

「お父さん、私、結婚を考えているのだけど」

この例文だと、「お父さん」と「私」と「結婚~」の間に、語り手の息遣いが入ります。勇気を持って、声色を低めながら告白しているような雰囲気ですね。

逆に、

「お父さん私結婚を考えているのだけれど」

と敢えて読点をなくすことで、矢継ぎ早に言葉を発しているような印象を与えられます。読点を入れた文章と比べて、一息そして早口で、父の反論を許さないような力強い表現になりました。

3点リーダ(…)やダッシュ(―)との使い分け

「間」を表す記号と言えば、この2つが主に使われます。対して読点はそこまで意識されていません。

ひとまず例文を出しましょう。

「私は、なんて愚かなことを……」

「白銀の騎士が身を翻した刹那――。」

文章の終わりに入れてみました。3点リーダは主にセリフ中に現れて、語り手の長い沈黙を表現できます。日常の文章でも時折見かけるくらいには汎用性があり、知らない人はいない符号ですね。

ダッシュはもっぱら本の中でしか使われないようなイメージがあります。セリフ、地の文問わず一瞬の間を表現することが多いですね。

その他にも、セリフに使われる鉤括弧の代わりとして文頭に入れられることや、注釈を入れる際、――例えばこのように――対象となる文章を挟むような形で使われることもあります。

 

上記の2つに加え、句読点も間の表現に使えるわけですが、それぞれ固有の「間」を持っているので、うまく使い分けることで表現の幅は大きく広がります。

まず、3点リーダとダッシュの違いは説明しました。3点リーダは「セリフ中の長い沈黙」。ダッシュは「セリフ、地文問わず一瞬の間」。

句点の場合、小説では主に「セリフ中の呼吸するほどの間」の表現で使われそうです。時間的な長さで言えば3点リーダとダッシュの間、若干ダッシュよりの位置でしょうか。ちょうど開いていた席を埋めるような嬉しい位置関係ですね。

読点の得意分野

しかし読点には弱点があります。

「……この十年間、待ちに待ちわびたよ」

「――彼の胸を、針のように鋭い矛先が貫いた」

このように、三点リーダダッシュは文頭に置かれることで、語り手が喋り出す前の間を表現できるわけですが、読点のこのような使い方は見たことがありません。

「、見知った顔しか集まらないな」

めちゃくちゃ不自然になります。脱字しているようにも見え、読み手は混乱することでしょう。こういった使い方はしない方がいいと思います。

 

さて、そんな読点ですが、他の「間」を表す符号の使い方とはやはりルールが違うのです。

三点リーダダッシュも、少々古い考えらしいですが、2個セットで使わなければいけないのです。そのため一文中に連続して使うと間延びしがちで、非常に読みづらい文章になってしまいます。

ですが読点にそんなルールはありません。好きな場所に1つ置けば効果を発揮し、一文中にも都度置くことで息切れしたような雰囲気を出しつつ、文字のかさばりを抑えることができます。

 

そして、三点リーダとの併用でさらに細かい間まで、表現に変化を与えることができます。

「はあ、はあ……俺たちの襷……、行け……行けよ……!」

このように、一部三点リーダの後に読点を加えてみましたが、他の三点リーダの「間」との微妙な差は感じられたでしょうか。

「俺たちの襷」と言ったあと三点リーダの間を経て、言葉が詰まったかのような間が入りました。語り手はここで何かしらの変化を感じ、言うか言わないかの逡巡をした――そんなセリフとして考えました。

 

表現としての読点はやはり、日常文よりも自由に使うことができる反面、より書き手のセンスに左右されるでしょうね。

 

正直、私自身も読点については雰囲気で使っていた節もあります。ですがこうして分析しながら記事を書いてみた結果、今まで以上に読点への理解を深めることができました。

慣れない人も多い読点。使わなければ慣れることもありませんので、まずは主語の後に読点を意識してみてください。